米国新関税「対日12.5%」のリスクにどう備えるか?越境EC経営者が語る、法的な壁と証明責任
米国が提案する「対日12.5%関税案」は、越境EC事業者にどのような影響をもたらすのか。JP.Company代表の荒木淳平が、提案段階の現状から、通商法301条の法的安定性、そして米国税関が求める「証明責任」の厳しさまで、自身の経験を交えながら解説します。
越境ECビジネスを手掛ける僕らJP.Company (Monoshare) にとって、日々変化する国際情勢、特に貿易関連のルール変更は常に注視すべきポイントです。最近、米国が日本に対して「12.5%の追加関税を課す」という報道が飛び交い、多くの事業者が不安を感じているんじゃないかと思います。正直、僕自身も「これはどうなるんだ」と、かなり意識して情報収集を進めています。
米国「対日12.5%関税案」は本当に決定事項なのか?
まず、一番大事なことからお伝えします。現在、米通商代表部(USTR)が進めているこの「対日12.5%の追加関税」は、あくまで「提案段階」であって、現時点で確定したわけではないんですよ。僕ら経営者としては、この状況を冷静に受け止めることが何よりも大切だと考えています。
なぜ日本がこの追加関税の対象候補になっているのか。背景には、中国の新疆ウイグル自治区などにおける強制労働問題があると言われています。アメリカ側から見ると、日本は「強制労働によって作られた部品や素材の流入を十分に防げていない国」とみなされ、追加関税のグループに入れられてしまった、というのが実情のようです。正直、日本がまさか、という感覚を持つ事業者も少なくないと思いますが、国際的なコンプライアンスの意識が、僕らが思っている以上に高まっている証拠じゃないかと思っています。
ただし、心配しすぎる必要がない点もあって、この関税が仮に導入されたとしても、実効税率は「上限15%」に収まる見込みだとされています。つまり、単純に今の関税に「+12.5%」が上乗せされるわけではないんです。例えば、今まで関税0%だった商品は12.5%に、すでに数%かかっている商品も、合計で最大15%程度に調整される可能性が高いと言われています。とはいえ、僕らとしてはコスト増は避けられないので、価格戦略や仕入れの見直しは必須だと考えています。特に、僕らのように利益率を細かく見てビジネスをしている越境EC事業者にとっては、この数パーセントの変動が、事業の継続性に直結する可能性もあるわけですから、決して軽視できない問題なんですよ。
経営者の視点
なぜ「通商法301条」に基づく措置は厄介なのか?
「まだ提案段階なら、そんなに気にしなくてもいいのでは?」と思う方もいるかもしれません。でも、ここがアメリカの貿易政策の恐ろしいところで、僕らはこの「法的な壁」を理解しておく必要があるんです。
今回の追加関税の根拠とされているのが、米国の「通商法301条」という法律です。これは、米国が不公正な貿易慣行に対抗するために用いる法律で、この法律に基づく措置は、一度実施されてしまうと法的な安定性が高く、大統領が変わったとしても、そう簡単には覆らないという特徴があるんですよ。これは、かつての対中制裁関税を見ても明らかで、一度発動されたら、何年もその影響が続くことになります。つまり、一度決まってしまうと、長期的な影響を覚悟しなければならないということですね。
そして、僕が何よりも警戒しているのが、アメリカの税関が持つ「疑わしきはまず止める」という非常に厳格なスタンスです。日本の法律では「疑わしきは罰せず」が基本ですが、アメリカの税関は真逆なんです。少しでも怪しいと判断されれば、まず輸入をストップさせ、問題がないことを「企業側」に証明させます。この「証明責任」が、関税のパーセンテージ以上に、僕ら越境EC事業者にとって大きな壁になるんです。
実際に、過去には日本企業の商品が「材料の出所が証明できない」という理由で税関で差し止められた事例も起きています。僕らが扱っている商材の中には、様々な部品や素材が使われていますから、そのサプライチェーンを遡って、強制労働に関わるものが一切ないことを証明するのは、簡単なことではありません。例えば、ある製品に中国製の部品が使われている場合、その部品が強制労働で作られたものではないことを、部品メーカーだけでなく、さらにその先の素材メーカーまで遡って証明する必要があるんです。これには膨大な手間と時間、そして専門的な知識が必要になります。
うちの会社でも、仕入れ先との契約内容を見直したり、原産地証明の強化を検討したりと、水面下で様々な準備を進めているところです。具体的には、サプライヤーに対して強制労働に関わっていないことを保証する書面の提出を求めたり、定期的な監査を行う体制を構築したりしています。このような対応は、僕らのような中小規模の事業者にとっては大きな負担になりますが、アメリカ市場でビジネスを続けるためには避けて通れない道だと判断しました。
この関税問題は、単なるコスト増だけでなく、サプライチェーンの透明性やコンプライアンス体制を根本から見直すきっかけになる。そう考えて、僕らは日々、情報収集と対策に力を入れています。
今回の「対日12.5%の関税案」は、まだ確定ではないものの、その背景にある法的な枠組みやアメリカ側の厳格な運用スタンスを理解しておくことが、越境EC事業を続ける上で非常に重要だと僕は考えています。コスト増だけでなく、サプライチェーンの証明責任という新たな課題に、僕らは真剣に向き合っていかなければなりません。
FAQ
Q.米国の対日12.5%関税案は確定していますか?
Q.なぜ日本がこの関税案の対象になっているのですか?
Q.実際に12.5%の関税が上乗せされるのでしょうか?
Q.「通商法301条」とはどんな法律ですか?
Q.米国税関の「証明責任」とは何ですか?
Q.越境EC事業者はどのような対策をすべきですか?
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