MONOSHARE
2026.08.05

トランプ関税15%の真実:越境ECセラーが知るべき相互関税とデミニミス撤廃の全貌

越境EC・ラグジュアリーリユース業界の荒木淳平が、トランプ関税15%の誤解を解き明かす。相互関税の新ルールと、より影響の大きいデミニミス撤廃について、具体的な影響と対策を解説。

先日、アメリカと日本の間で関税が「15%に決定した」というニュースが流れましたよね。これを聞いて、「相互関税が24%から15%になった」とか、「一律で関税が15%に上がる」と解釈した方も多いんじゃないでしょうか。でも、実はこれ、ちょっと違うんですよ。僕も現場で多くのセラーさんと話す中で、このあたりの誤解が多いと感じています。

関税の新ルール:上乗せ方式から「上限設定」への変化

まず、今回の「15%」という数字の真実からお話ししたいと思います。一般的な解釈では、これまでの関税にさらに15%が上乗せされる、あるいは全体が15%に引き上げられる、と思われがちですが、そうではありません。この15%は、あくまで「上限」として設定されたものなんです。

具体的には、2025年8月1日以降、**「通常の関税(MFN税率)+相互関税の合計が最大15%まで」**というルールに変わります。これまでは、通常の関税に相互関税が「上乗せ」される方式でした。それが今後は「上限設定」方式になるわけです。

もう少し詳しく見ていきましょう。もしMFN税率(最恵国待遇税率)が15%未満の商品であれば、MFN税率に相互関税が加算されて、合計が15%になるまで税率が引き上げられる可能性があります。一方で、MFN税率がすでに15%以上の商品については、相互関税は適用されず、MFN税率のみが適用されることになります。これはDHLなどの物流事業者も同様の見解を示していますね。

つまり、全ての商品の関税が一律で15%になるわけではなく、商品の種類やMFN税率によって影響は大きく変わる、ということなんです。僕ら越境ECをやってる人間からすると、この「上限設定」という考え方は非常に重要になってきます。

EC・オンライン物販EC・オンライン物販

どんな商品が影響を受けるのか?セラーが知るべき具体例

では、この新ルールで実際にどんな商品が影響を受けるのか、セラーの皆さんにとって気になる点だと思います。

まず、影響が小さい、あるいはほとんど変わらない商品としては、バッグ類やアパレルなどが挙げられます。これらの商品は、すでにMFN税率が高いケースが多く、今回のルール変更で相互関税が適用されなくなる、あるいは合計が15%に収まるため、現行とほぼ変わらないか、むしろわずかに税率が下がる可能性すらあります。うちで扱っているラグジュアリーブランド品なども、このカテゴリに入ることが多いですね。

一方で、影響が出る可能性のある商品としては、自動車パーツ、デジカメ、小型家電などが挙げられます。これらの商品は、もともとMFN税率が比較的低いジャンルが多いんです。そのため、MFN税率に相互関税が加算され、結果的に最大で15%まで税率が上がる可能性があります。特に低関税ジャンルを扱っているセラーさんは要注意だと僕は思います。

「一律で15%に上がる」という誤解が多いですが、実際には一部のジャンルに限定された影響なんですよ。2025年3月以前の税体系とほぼ同じ水準に戻っただけ、という見方もできるかもしれません。ただし、政府は四半期ごとの見直しを実施予定なので、次回見直しで税率や対象品目が拡大するリスクは常に頭に入れておく必要があります。

国際物流・貿易国際物流・貿易

「デミニミス撤廃」が越境ECにもたらす本当のインパクト

今回の関税の話の中で、僕がもっとも「キツイ」と感じているのは、実は**8月29日から施行される「デミニミス撤廃」**の方なんです。トランプ関税の15%よりも、こちらの方が越境ECを運営する上で大きな影響をもたらすと見ています。

「デミニミス」とは、少額輸入貨物に対する免税措置のことです。これまでアメリカでは、800米ドル以下の輸入貨物については、原則として関税が免除されていました。これが8月29日をもって撤廃される、ということなんです。つまり、米国に輸入される800米ドル以下のすべての貨物に、一般関税や国際緊急経済権限法関税、その他の適用関税を含む、米国関税率表に基づくすべての適用関税が課せられることになります。

これは特に、僕らが扱っているような比較的小さな商材を多数送る越境ECのビジネスモデルには直撃する話なんですよ。例えば、これまで関税がかからなかった100ドルや200ドルの商品にも、これから関税がかかるようになるわけです。お客様からすると、これまでかからなかった関税が突然追加されることになるので、購入体験に大きな影響を与える可能性があります。

もちろん例外はあります。外国の個人からアメリカの個人に向けた100米ドル未満のギフトや贈り物(バージン諸島、グアム、アメリカ領サモアの個人発の場合は200米ドル未満)、アメリカへの海外からの旅行者が持ち込む200米ドル以下の私物や家庭用品は引き続き免税対象です。でも、これはビジネス用途にはほとんど関係ありません。

このデミニミス撤廃は、越境ECのコスト構造や価格設定に根本的な見直しを迫るものだと思います。セラーとしては、関税コストをどう価格に転嫁するのか、あるいは物流パートナーと協力して関税徴収の仕組みをどう構築するのか、早急に検討する必要があるでしょう。

まとめ

トランプ関税15%の真実、そしてデミニミス撤廃についてお話ししてきました。重要なポイントは以下の2点です。

  • 相互関税15%は「上限設定」:全ての商品の関税が一律15%になるわけではなく、MFN税率との合計が最大15%になるというルールです。MFN税率が低い商品には影響が出やすいですが、高い商品には影響が小さい、またはないケースもあります。
  • 8月29日からの「デミニミス撤廃」が越境ECにはより重要:800米ドル以下の貨物にも関税がかかるようになるため、特に低価格帯商品を扱う越境ECセラーは、関税負担増への対応が急務となります。

これらの変更点を正しく理解し、自社のビジネスモデルや取り扱い商品に合わせて、柔軟に対応していくことが、これからの越境ECで生き残るために不可欠だと僕は考えています。

CONTACT / VIEW SERVICES

SHARING JAPAN'S FINEST
WITH THE WORLD.

ご質問・お問い合わせがございましたら、お気軽にお問い合わせください。